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遺体感染管理士とは?どんな仕事?誰でもなれる?
遺体感染管理士という言葉は、あまり聞きなれない人の方が多いかと思います。ただ、最近では遺体感染管理士の需要がとても増えています。高齢化社会になったことで、葬儀を行うことが増えたからです。
では、遺体感染管理士の具体的な仕事や、どのような人がなれるのかご説明します。
遺体感染管理士の主な仕事
遺体感染管理士は、遺体分野での「感染予防対策」の担当者としての仕事を行う存在です。
病院内では、看護部長、看護師長、また施設内では施設長などから承認をもらい、仕事を進めていくことになります。では、具体的にどのような仕事内容なのか下記をご覧ください。
・死後処置の技術指導
・死後処置のマニュアル作成
・教育研修
このような遺体に関する仕事を行います。
医療機関であれば、勤務している部署や死亡が発生した他の部署などでも教育研修を行うことになります。
また、医療機関では各部署に1人は遺体感染管理士がいるのが理想的です。病院内に複数人の遺体感染管理士がいる場合であれば、遺体感染管理士会を開き研修をして、必要であればICN、リンクナースなどと連携できるようにしておきます。
遺体感染管理士になれる対象者
遺体感染管理士の認定資格を取得することができるのは、医療と介護に3年以上勤務経験がある「有資格者」であり、介護士、介護福祉士、助産師、看護師が対象となります。
このような有資格者が遺体感染管理士になる資格をもっているのは、やはり病院内や施設内で仕事をすることになるので、経験が必要だということです。
遺体感染管理士が病院や施設にいることにより、環境感染を予防するための対策が充実しますし、遺族の安全や帰宅後の「公衆衛生」などにも良い影響を与えます。
衛生的な死後処置技術を行うことにより、遺体の尊厳を守ることができますし、感染症が分かっている場合には、遺族の不安を解消してあげることもできます。遺体感染管理士いるだけで、病院や施設に対する信頼感が増します。
遺体感染管理士が誕生した背景
医療現場では、感染予防対策に関わるICN(感染予防対策看護師)やリンクナース(感染予防対策部署内担当看護師)という人材が配備されています。
ただ、死後処置業務は環境感染予防の対象になるのですが、実際には「死後処置業務」がまだまだ全国的に広まっていません。つまり、死後処置業務をした後に、従事した人の手を介して院内感染する可能性もあるということです。
死後処置業務は院内感染を予防する、医療従事者の安全を守る、遺族の安全や遺体の公衆衛生を守るという目的があります。ただ、感染予防を前提にして死後処置業務を行わなければ、一般の人にまで危機が迫ってしまう可能性もあります。
例えば、遺族や葬儀業者などから「病院でどうして死後処置を行わなかったのか?」とクレームが入ることがあります。それは、遺体を搬送しているときに血液や体液が流出してしまったからです。
こういったクレームは、ほとんどの場合病院に入ってくることになります。血液や体液が抽出したら、感染予防もできていませんし、遺体の尊厳を守れなかったということになります。
このような背景があり、死後処置の専門家である「遺体感染管理士」が誕生したのです。院内感染を予防し、医療従事者の安全を守り、遺体から感染予防を目的とした処置ができる遺体感染管理士は、現代において必要不可欠な存在です。
遺体感染管理士の資格取得方法
遺体感染管理士の資格を取得するには、有限会社エル・プランナーにて6時間30分の講座を受講し、遺体感染管理士の試験に合格をした人が認定資格をもらうことができます。
遺体感染管理士2種とは?
遺体感染管理士2種という資格があります。こちらの資格は、適切に冷却管理をする葬儀業者や反創業者などを対象にしている、民間資格になります。
医療に準じており標準予防を実施し、適切に冷却管理を行うことができ、医学的・科学的根拠に基づいて遺体業務に従事することができる資格です。
葬儀を行う葬祭業や遺体を搬送する搬送業は遺体に携わる仕事であり、遺体からの感染を予防することは重要な課題と言えます。
B型、C型肝炎、新型インフルエンザに加えて、近年ではSARSやMARS、新型コロナウィルスといった様々な感染症が出現しており、感染症予防を徹底する必要性がさらに高まっていることは間違いありません。
そのため、葬祭業に携わる人も医療者と同じような医療、医学的な知識、感染予防対策が必要になります。
また、死因や遺族の意向など様々な事情で葬儀まで日数が空いてしまう場合、遺体が腐敗してしまったとすれば遺族の悲しみをさらに増すことにもなりかねません。
冷却などの適切な処置を施せなかったために、遺体の顔が変化したり悪臭が発生したりすると遺体の尊厳を大きく損なうことにもなってしまいます。
これまで、葬祭業には遺体に関わる専門職としての資格が設けられていませんでしたが、これまでに延べた理由から遺体感染管理し2種認定資格が設立されたという経緯があります。
この資格が設立されたことにより、葬祭業者の冷却管理業務が向上、医学的、科学的根拠に基づく知識を習得した人材を明らかにすることも可能になりました。
葬儀業者に遺体感染管理士2種がいれば、遺族は葬儀業者に対して安心感を抱くことができます。また、社員の安全を守るためにも遺体感染管理士2種は必要な存在です。
遺体感染管理士2種の資格取得対象者は、3年以上葬祭業に従事している、搬送業者に従事している人となります。
遺体感染管理士はこれから先なくてはならない存在
遺体感染管理士は死後処置技術を広め、感染予防を行うために必要不可欠な存在になってきています。
遺体の状態を整え、搬送中にトラブルが起きないようにして、感染症を予防することができる、とても需要のある職業です。病院や施設内に、遺体感染管理士がいれば信頼できると考えていいでしょう。
近年は看取り介護を行う施設も増加しており、介護士が死後のケアを行う必要性も高まっています。
また、訪問看護の現場でも看護師、介護士が遺体のケアについて専門知識を持つことが求められています。
今後、年間の死亡者数は200万人を超え、現在の2倍の人がなくなる時代を迎えるとも言われているため、死後の遺体のケアを看護業務として行うだけでは手が回らなくなるという声があるのも事実です。
遺体感染管理士の資格は、医療従事者だけでなく介護士にとっても益々身近なものになっていくでしょう。
また、今後は遺体感染管理士認定資格者を葬祭業や搬送業にも広げ、医療現場と葬祭業が協力しあって不慮の感染を予防するための対策や災害時の支援協力などの活動も視野にいれた展開が検討されているということです。
こうしたことから、遺体感染管理士は病院や施設、葬祭業、搬送業といった遺体に携わる仕事全てにおいて不可欠な存在、欠かせない存在となっていくことが予想されます。