墓石の素材として使われる石材の1つに「閃緑岩(せんりょくがん)」があります。色合いが、かなり黒いので「黒御影石」と呼ばれることもあります。あまり産出量が多くないということもあり、閃緑岩を使った墓石というのは「高級」といわれています。

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閃緑岩にはどんな特徴がある?
最初にお伝えしたように、閃緑岩は墓石の素材になる石材の1つでもあります。もちろんその他にも用途はありますので、墓石だけということではありません。では、閃緑岩の特徴について詳しくご説明します。
閃緑岩は深成岩の1種
閃緑岩は、マグマが地下深くで「ゆっくりと冷えて固まった」もので、深成岩と呼ばれる岩石に分類されます。また、閃緑岩は「二酸化ケイ素」が60%ほど含有した岩なので「中世岩」に分類されています。
それでは、閃緑岩を構成している鉱物をご紹介しましょう。
・輝石類
・斜長石
・黒雲母
このような鉱物にて構成された閃緑岩は、かなり黒い色をしているのが特徴的です。ただ、斑レイ岩よりは黒さがありませんが、岩石の中では黒いほうです。
岩石自体の特徴としては、硬い性質があるので風化しにくく、磨くと岩がツヤツヤになり光沢が出てくるという良さがあります。
ちなみに、閃緑岩を英語にすると「diorite」という訳になります。英語で使うことはあまりないかもしれませんが、参考までに覚えておいてもいいでしょう。
閃緑岩は何に使われる?
閃緑岩は、主に墓石の素材として使われています。その理由は、硬い性質により劣化や風化が進みにくいこと、光沢が出るので高級感のある墓石に仕上がることなどがあげられます。ですから、墓石を作るときには「閃緑岩はどうですか」と石材店の人から勧められることもあるでしょう。
ちなみに閃緑岩は、日本国内で採掘できる量がとても少ないので中国から輸入をして墓石に使っているというケースが多いです。もし日本国産の閃緑岩を墓石に使うのであれば、とても高級な墓石になります。
その他にも、建築石材として閃緑岩が使われることもあります。御影石の一種でもある閃緑岩は、他の石材と合わせて使うことで美しいグラデーションを生み出すことが可能です。こういった面から、建築石材としても有効活用されています。
閃緑岩を採掘している場所
日本国内で閃緑岩が採掘される量は、とても少ないという現状があります。ただ、そんな中でも閃緑岩を採掘している場所があります。そして、貴重な閃緑岩の種類として「浮金石(うきがねいし)」と「矢掛青石(やかけあおいし)」が有名なので、それぞれの産地をご紹介します。
浮金石は福島県で採掘される
浮金石は、福島県田村市という場所にある「黒石山」にて採掘することができます。なぜ浮金石という名前がついたのかというと、「白・金」などの色合いにより、斑点が浮き出しているように見え、岩の表面に散りばめられているからです。
浮金石を使った墓石は、なんと40年経過しても劣化しないといわれています。およそ半世紀は劣化をせずに、お墓を良い状態に保つことができるというのは、素晴らしいコストパフォーマンスです。
この浮金石は、採掘できる量がとても少ないので「希少価値」のある高級石材として知られています。劣化しにくく、高級墓石を建てたい場合には浮金石を使うのもおすすめです。
矢掛青石は岡山県で採掘される
矢掛青石は、岡山県小田郡矢掛町にある山で採掘することができます。矢掛青石以外に「讃岐青」「備中青御影」とも呼ばれています。
色合いは青っぽさが少しあり、黒色がキメ細かく入っています。そして石を磨くと、とてもツヤツヤになり光沢が出る性質があります。矢掛青石は、その光沢をずっと維持してくれるので、墓石にしたときにとても高級感のある仕上がりになります。
日本国産の閃緑岩の中でも、トップクラスで高級な石材として知られており、希少価値の高いものとなります。
閃緑岩と花崗岩の違いとは?
閃緑岩は墓石に使われる石材ですが、花崗岩も墓石に使われることが多い石材です。実はこの2つの岩石は、どちらとも「深成岩」の1種になりますので、構成的には似ている部分があります。閃緑岩は花崗岩よりも「有色鉱物」が多く含まれているので、黒色が強いという特徴があります。また、墓石として有名な「御影石」というのは花崗岩のことを指しています。
また、どちらともに硬さがあり劣化しにくいという良さがあるので、墓石に使うには最適な石材として活用されています。
閃緑岩でお墓を建てることも選択肢に
これからお墓を建てる予定がある人や、終活をしていて自分のお墓について考えている人は、様々な種類の石材について調べているかもしれません。色の好みやデザインなどもありますので、絶対にこの石材がいいというものはありません。ただ、閃緑岩は風化しにくく高級感があるので、そういった条件を求めているのであれば選択肢に入れてもいいのではないでしょうか。