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釘打ちの意味とは?どんな儀式を行うのか
釘打ちとは、一体どのような儀式のことなのか。
実際にどんなことをするのか、詳しくご説明しましょう。
釘打ちとは棺へ釘を打つこと
釘打ちというのは、その名の通り『釘を打つ』行為のことをいいます。
葬儀が終わって出棺するときに、棺に蓋をします。
そのときに遺族が石を使って釘を打ち、蓋を閉じる儀式を釘打ちと呼びます。
現代では、釘打ちを行う人が少なくなってきており、たとえ釘打ちの儀式が行われたとしても、最後の1釘だけを遺族が打つという形になってきています。
つまり、簡略化されてきているということです。
釘打ちの儀式の詳しいやり方
それでは、釘打ちの儀式の詳しいやり方についてご説明します。
通夜と葬儀がすべて終わり、故人とお別れを行うときに釘打ちの儀式が始まります。
まず遺族や参列者などが、棺の中に生花を入れてお別れをします。
そして棺の蓋を閉めて出棺するのですが、ここで蓋に釘を打ちます。
釘打ちは遺族が行うもので、まずは喪主が釘打ちをします。
次に、故人と関係が深かった順番に1人2回ずつ石を使って釘を打ちます。
三途の川を渡りあの世に行く死者を見送るという意味があり、三途の川にある石に見立てた、こぶし程度の大きさの石を使って釘を打ちますが、最近では金づちを使って釘を打つこともあります。
釘打ちは儀式になるので、基本的には葬儀社の人がある程度釘を打ち込んでくれています。
最後の釘打ちを遺族で行えばいいので、本気で思いきり何度も釘を打たなくても大丈夫です。
釘打ちが行われるようになった由来とは?
どうして釘打ちが行われるようになったのか、それは諸説あります。そこで今回は、3つの説をご紹介します。
<死を封じ込める目的>
日本独自の信仰として神道が広まり、死者の魂は荒ぶっているので『死霊』になるといわれてきました。
日本では古くに土葬を主流としていましたので、死者を封印するために釘打ちをしていたという説があります。
そう考えると、現代では火葬になったので、死者を封印する必要性は無くなったともいえます。
<単純に蓋が外れないようにするため>
古くは「野辺送り」という方法で、棺を人々が担ぎ墓地に運ぶという葬儀が行われていました。
野辺送りが一般的だったのですが、昔の道は舗装されておらずガタガタしているところも多く、棺の蓋もユラユラしてしまい、落ちたり開いたりしてしまう状態でした。
簡易な一枚板を棺の上に乗せるだけだったので、これでは蓋が外れてしまうということになり、釘打ちをして蓋がズレないように対処をしたという説があります。
つまり、ただ単純に蓋を固定するためだけの行為だったということです。
<故人への想いを断つため>
遺族というのは、故人の死をなかなか受け入れられないものです。
釘打ちをすることで、棺が開かないようにするという意味があります。
つまり、遺族が『故人はもう戻ってこない』ということを認識するために、釘打ちをしたという説があります。
少し残酷ではありますが、こうやって無理にでも故人への想いを断つことが必要だったのです。
釘打ちが現在でも行われている地域とは?
釘打ちは最近あまり見かけなくなったのですが、東北や北海道では現在もしっかりと釘打ちを行っています。
都心、中部、近畿、西日本などでは、あまり見かけなくなっています。
慣習を重要だと考えている地域や、年代などによって釘打ちはとても大切な儀式の1つだということで、今もなお残っているのでしょう。
釘打ちは海外でも行われている
日本では火葬をするのですが、それでも慣習などにより釘打ちをする地域や人がいます。
では海外ではどうなのか?
海外の多くでは、土葬にて死者を埋葬している場所がたくさんあります。
土葬をすると『ゾンビ』のように悪霊が出てくると考えられているので、ある対策をしています。
棺を釘打ちすればいいのでは?と思うのですが、そうではないのです。海外では、棺の蓋が開かないように『布を巻く』『鍵をかける』などの対処をします。
ただ、キリスト教では『死者の復活』を信じていますので、棺の蓋が開かなくなるような処置はしません。
釘打ちは故人との別れにおいて大切な儀式
現代人は釘打ちを見ることが少なくなってしまいました。
それでもなお、釘打ちを慣習として残している地域もたくさんあります。
火葬が主流になった日本では、自然と釘打ちの儀式を減らしていき、簡略化してきました。
ただ、釘打ちの儀式とは、故人との別れにおいて大切なものです。
釘打ちの慣習がない人からすれば、「そんなことをする必要があるのか」と思うかもしれません。
しかし慣習がある人からすれば、故人や自分に対する気持ちの問題として、釘打ちはとても重要な儀式であるといえます。