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葬送曲とは?どんなタイミングで流す?
葬送曲にはどんな意味があり、どのようなタイミングで流すものなのか。具体的な葬送曲の使い方についてご説明します。
葬送曲は死を悼むための曲
葬送曲は「死を悼む(いたむ)」ために流す曲です。
死を悼むというのは、亡くなった人との思い出を頭に浮かべたり、亡くなったことを悲しんだり、嘆いたりすることです。つまり、亡くなった人に対して「安らかに眠ってほしい」という気持ちが込められています。
そんな死を悼む気持ちを表現したものが、葬送曲です。音楽が流れてくると、亡くなった人との思い出などが、どんどん蘇ってくる不思議な音楽です。
葬送曲はどんなタイミングで流す?
葬送曲を葬儀中に流すときは、どのタイミングで流すものなのか。実は「この時間」という決まりはないのですが、なんとなく4つのタイミングで葬送曲を流すことが多いです。その4つとは、この時間です。
- 葬儀が始まる前の時間
- 献花をする時間
- 故人の紹介などをする時間
- 出棺をする時間
基本的な仏教の葬儀であれば、この4つのタイミングで葬送曲を流すことが多いです。ただ、無宗教であれば葬儀の間中ずっと葬送曲が流れていることもあります。
葬送曲と葬送の歌に違いはある?
葬送曲という言葉以外に「葬送の歌」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。では、葬送の歌とはいったい何なのでしょうか。
葬送曲は葬儀で流す、死を悼むための音楽です。葬送の歌は「ある特定の亡くなった人」に対して作られている曲です。
つまり、葬送曲は多くの人の死を悼むことができる曲ですが、葬送の歌はある人物だけの死を悼むための曲なので、曲調などにも違いがあります。
例えば、イーゴリ・ストラヴィンスキー氏が、自身の恩師ニコライ・リムスキー=コルサコフ氏のために作曲をした「葬送の歌」が存在します。この曲は、とても幻想的で葬送曲とはかなり曲調が違うことが分かります。
代表的な葬送曲4選
それでは、代表的な葬送曲を作曲した作曲家とその葬送曲をご紹介します。皆さんの知っている有名な作曲家も、葬送曲を作曲しています。
<ショパン>
ショパンは1827年にピアノソナタ第2番第3楽章「葬送行進曲」を作曲しています。かなり重い雰囲気のある曲調から始まり、途中から天国をイメージさせるような美しい曲調に変化します。とても多くの人に知られている葬送曲なので、葬儀に参列したことがある人は聞いたことがあるかもしれません。
<ベートーヴェン>
誰もが知っているベートーヴェンも葬送曲を作曲しています。1804年に交響曲第3番「英雄」第2楽章「葬送行進曲」の作曲です。ここに出てくる英雄というのは、「ナポレオン」のことを表しており、ナポレオンに献呈するつもりで作ったのですが、曲ができたすぐ後にナポレオンが皇帝になってしまい、献呈はやめたという逸話があります。
なぜ皇帝になったから献呈をやめたのか?その理由について、ベートーヴェンの弟子がこんな風に語っていたという説があります。どうやらベートーヴェンはナポレオンが皇帝になったことに対して、怒りをあらわにしていたようです。
その他にも、第2楽章で「英雄の死と葬送」をテーマにして作曲をしたので、ナポレオンに対して失礼に当たるということから、献呈をやめたという一説もあります。
<モーツァルト>
モーツァルトが作曲した葬送曲は、フリーメイソンの会員である貴族2人の為に作ったという説があります。1785年に「フリーメイソンのための葬送音楽」という曲を作っています。
ちなみに、モーツァルトは1784年にフリーメイソンに加入をしており、その後はフリーメイソンのために色々な音楽をたくさん作っていました。
<マーラー>
マーラーの作曲した葬送曲は「交響曲第5番第1楽章葬送行進曲」です。第5楽章まで存在しており、葬送から始まって勝利を収めるという流れで曲が進んでいきます。
はじまり部分はトランペットのソロなのですが、途中でかなり激情を感じさせる曲調になります。とても厳かなイメージのある葬送曲に仕上がっています。
葬送曲はCDで購入することもできる
葬送曲は、CDでまとめて収録されて販売されていることもありますので、葬送曲を自分で用意したい場合や、興味があって聞いてみたいという場合には、葬送曲が収録されたCDを購入してみてはいかがでしょうか。
葬送曲は葬儀にとって必要なものだった
何気なく流れている葬儀中の音楽ですが、これらは葬送曲と言って葬儀の雰囲気を作り、故人を悼むために必要な音楽です。
