
このページの目次はこちら
葬制(そうせい)とは死に関する習慣のこと
葬制は簡単にいえば、人間の死に関する習慣のことを意味しています。葬儀の方法、制度、葬送(火葬・土葬など)に関する幅広い意味があります。
告別式・葬儀は葬制なのか?
告別式や葬儀は、葬制と呼べるのかどうか?
葬制は基本的に「遺体処理」に関する儀礼のことなのですが、人の死に関係する習慣・儀礼も葬制として考えられます。
ですから、故人と別れるための儀式である告別式や葬儀も、葬制の1つだと言っていいでしょう。
葬制と墓制には違いがある?
一般的に葬制は人の死に関わる儀礼のことであり、墓制はお墓を作って故人の遺体を入れるという意味になります。ただ、墓制という言葉がお墓という意味を持つこともあります。
墓制はお墓の作り方のことで、一般的にお墓は1つであり、その1つのお墓の作り方を墓制といいますが、「埋め墓と詣り墓」という2つのお墓をつくる両墓制というものもあります。
このように、葬制と墓制はそもそも意味も指しているもの自体も違います。
葬制(そうせい)の種類はたくさんある
葬制は宗教、民族、地域などによりたくさんの方法があるので、主な葬制についてご紹介します。
火葬
火葬は遺体を焼却する葬法になります。仏教が多い日本では、火葬が一般的に行われています。葬場で火葬をし、参列者により「骨上げの儀式」を行います。その後、遺骨はお墓に埋葬されるのが一般的な火葬の流れです。
それでは現代で行われる火葬の手順、流れを簡単にご説明します。
- 葬儀で出棺が終わったら火葬場に移動をする
- 遺族や近親者などの親しい人のみが火葬場に行く
- 役所で死亡届を出したとき「死体火葬許可証」をもらったので火葬場に提出
- 火葬が終わった証明印を押してもらい「埋葬許可証」にしてもらう
- 火葬は40分~2時間かかりますので待合室で待ちます
- 火葬が終わり遺骨を骨壺に入れて収骨します
- 収骨が終わると白木の箱に入れ布で包まれます
このような流れで火葬をすることになります。
土葬
土葬は遺体をそのままの状態で土の埋めるという法王です。キリスト教、イスラム教では土葬が多いです。日本でもかなり昔には土葬があったのですが、現代では勝手に土葬をすると「死体遺棄罪」になる可能性があるので、許可はされていません。
棺がなかったはるか昔の縄文時代では、遺体の下半身を曲げた姿勢で埋葬していました。この状態を「屈葬」と呼びます。その後は遺体を仰向けにして棺桶に入れて土葬していたことが分かっています。
ちなみにどうしても土葬をしたいという場合には、土葬をすることも可能です。ただ、火葬と比較すると、かなり難しいのであまり行う人はいません。土葬を行うには、故人の死亡届を出した市区町村の許可を得る必要があります。
土葬許可証を市区町村から受け取り、埋葬をする場所の墓地管理者に書類を提出し、許可が下りれば土葬が可能です。
水葬
水葬は川・海などに遺体を沈める方法です。遺体をそのままの状態で水に沈める方法と、火葬をしてから水に沈める方法があります。ただ日本で水葬をすると、「死体遺棄罪」になるので許可されていません。
しかし例外があり、「船員法15条」にて定められている船行中で、下記の条件に当てはまった場合には、船長が水葬を行うことができます。
- 条件1
- 船舶の船行中に行う
- 条件2
- 本人の写真撮影をし、遺品と遺髪を保管する
- 条件3
- 死亡から24時間経過していること
- 条件4
- 相応の礼儀を尽くす
- 条件5
- 遺体が浮き上がってこないように処置すること
これらの条件に当てはまらない場合に水葬を行うと、「埋葬法違反」になってしまいます。
風葬
風葬とは、遺体を風にさらした状態にして、風化させるという方法になります。雨風に遺体をさらしておくことで、自然に還すという目的があります。崖、樹上などで風葬を行うことが多く、日本でも古くに宮古島で風葬が行われていたのですが、現在ではほぼ行われていません。
衣類を着たまま行うことがほとんどで、風化した遺体は放置されるか、遺骨を水で洗い改めて安らかに眠れる場所に置くというケースもあります。
現在では、東南アジア、オーストラリア、北アメリカなどで実際に風葬が行われています。
葬制(そうせい)の種類を知り正しい遺体処置を
日本では葬制の中でも、やはり基本的には火葬をすることになります。稀に土葬もあると思いますが、私たち現代人は火葬をすることが多いと考えていいでしょう。
葬制は国や地域、宗教や年代などによって変わります。こうやっていろいろな葬制を知ることで、死者をどうやって弔ってきたのか、その歴史を知ることもできます。