水垂(みずたれ)という言葉をご存じでしょうか。あまり聞き慣れない言葉なので、ほとんどの方が「はじめて聞いた」と思うかもしれません。実は水垂とは、お墓に対する加工方法のことを指します。

水垂とは?どんなメリットがある?
水垂を行うと、お墓に対してどのようなメリットがあるのか。こちらで詳しくご紹介します。
水垂の目的
水垂はお墓に施す加工のことです。水垂加工を行うと、お墓の台の部分に緩い傾斜がつきますので、水はけがよくなります。水はけがよくなれば、墓石が無駄な水分を吸収するのを防ぐことができるので、劣化を抑制します。
お墓は石を使って作られているので、劣化しにくいというイメージを持っている人も多いでしょう。しかし実際には、水はけが悪くて水分を墓石が吸収してしまうと、劣化に促進がかかってしまいます。
ですから、お墓を大切に守っていきたいのであれば、水垂加工をするのがおすすめです。
水垂のメリット
それでは、水垂加工をすることで得られるメリットについてご紹介します。
◆墓石のサビと色褪せを予防する
保積というのは、御影石を使って作られているのですが、この石は「鉱物」になります。実は鉱物には、水分を吸収するとサビが出てきて、色褪せが起きるという特性があります。
ですから、水垂加工をしないでおくと、墓石が水分を吸い続けてしまいサビや色褪せが悪化します。水垂加工をすれば、サビなどを予防することができるのでおすすめです。
◆墓石に高級感が出てくる
水垂加工は、水はけをよくするだけではなく墓石の見た目も綺麗にしてくれる効果があります。水垂加工をした墓石としていない墓石を比較すると、加工してある方が高級感のある見た目になります。
水はけをよくしてくれる上に、墓石に重厚感がでるのはとても嬉しいですね。
◆水平な場所なら加工ができる
水垂は、お墓の水平な部分であれば、どこでも加工をすることができます。例えば、お墓の上台、中台、芝台なども水平な場所があれば加工ができます。
お墓には様々な形がありますが、水平な面は割とどのお墓にも見られますので、水垂加工をしやすい形だといえます。
水垂加工を行うときの注意点
水垂加工をすれば、お墓を綺麗に見せることができますし、何より劣化を抑制することができるので、できればやっておきたいものです。ただ、水垂加工を行うときには、注意すべき点もあります。
まず、お墓を購入するという方は、墓石の費用以外に墓石に対する加工費用が加わることを覚えておきましょう。そして水垂加工をすると、どのくらい費用が増すのかを業者と相談して、しっかりと計画を立ててください。
石材店の中には、すでにある程度の加工をした墓石を売っているところもあります。ただ、墓石の加工というのは宗派によって異なるケースもありますので、最初から加工してあるものより、自分たちでゼロから作る方がおすすめです。
水垂加工のやり方
水垂加工は、墓石を作る途中の段階で作業に入ります。墓石は石材を切り出してから、様々な形にしていきます。そして、墓石を作っている途中で水垂加工をします。では、水垂加工をするときの方法について、やり方別にご紹介します。
◆亀腹加工
亀をひっくり返すと、お腹はアーチを描いたようになっています。その形に似ている加工を墓石に施すので、亀腹加工と呼ばれています。
和型の墓石の上台や、墓誌の台になっている石などに亀腹加工を行うことが多いです。アーチ型にすることで、水はけがよくなり基礎の部分を保護することができます。
◆2分面取り加工
墓石の角を0.6㎝という細かさで、丸く削っていく方法です。水はけがよくなることはもちろんのこと、墓石の角が丸くなっているので、墓石が欠けにくくなります。
墓石は鉱物なので、硬いもので角の部分を叩くと意外と簡単に欠けてしまいます。墓石の劣化を防ぐためには、水はけ以外にもよい効果が得られる加工をするのはとてもおすすめです。
墓石を作るときに必要な費用
墓石は、一般的に50~100万円が相場価格とされています。この価格には、基本工事の費用も含まれていることが多いです。
ただ、相場価格は墓石自体を作る費用であり、加工や付属品などの費用が別にかかります。水垂加工もそうですし、付属品の玉砂利や卒塔婆などお墓に必要なものの費用が、墓石代にプラスされていきます。
ですから、まずは墓石自体の価格とその他の加工や付属品、必要な工事などすべてをまとめた費用を算出してもらい、どのような墓石を作るのかを決めていくといいでしょう。
水垂で墓石を守っていきましょう
水垂加工をすれば、墓石が綺麗に見えますし、水はけがよくなり劣化を防げます。これからお墓の購入を考えているという方は、業者さんに水垂加工のことを聞いてみるといいでしょう。お墓を綺麗な状態で守っていくのであれば、水垂は効果的です。