
このページの目次はこちら
死産届を出す意味と死亡届との違い
死産届というのは、妊娠12週以降に胎児が亡くなってしまった場合に出すものです。
死産届は、胎児が死産してから7日以内に役所に出すことが決まっています。
ちなみに死産届を提出しなければ、『死胎火葬許可証』が出ないので、火葬をしてもらうことができません。
死産届と死亡届の違いとは?
死産届と死亡届はとても似ている言葉ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴をご説明します。
<死産届は戸籍には残らない>
死産届とは、妊娠12週以降に母親のお腹の中で胎児が亡くなってしまったときに出すものです。
医師が『死産証書』を作成し、それを持って住んでいる地域の役所に行って死産届を提出します。
そして死産した場合は、『出生届』を出す必要もないので『戸籍』は作られない決まりになっています。つまり戸籍がないので『死産した』という事実は記載されません。
<死亡届は戸籍を作ることになる>
一方の死亡届というのは、赤ちゃんが生まれてすぐ、出産直後などに亡くなった場合に必要な書類です。
たとえほんの数秒、数分であってもこの世の中に生まれてきたという事実があるので、まずは『出生届』を提出して戸籍をつくることになります。
ただ、それと同時に『死亡届』を提出してから『除籍』の手続きをすることになります。
つまり、戸籍上では『出生したがすぐに死亡した』という内容が記載されます。
このように、死産届と死亡届というのは、戸籍をつくるかどうか、この世に生まれてきたかどうかという部分が異なります。
死産と流産は同じ?
お腹の中で赤ちゃんが死亡するという意味では死産と流産は同じと言えますが、法律上で定義されている死産と医学的な見解での流産の定義には違いがあります。
産婦人科学会では妊娠12週未満であれば「初期流産」、12週以降22週までを「後期流産」、22週以降を「死産」としていますが、法律の定義に則れば妊娠12週以降は全て死産ということになるため、法的な手続きが必要です。
もし、12週を過ぎて流産した場合は死産届を提出したうえで火葬を行わなければならず、届け出の義務を怠った場合には過料を科せられるので注意してください。
出産育児一時金については、12週1日以上の妊娠週数以降に死産した場合は支給対象となるので、加入している健康保険に申請することが可能です。
死産届は中絶したときも必要なのか?
妊娠をした場合、何らかの事情があって中絶をする人もいます。
たとえ中絶であっても、妊娠12週以降であれば『死産届』を提出しなければなりません。人工中絶をした場合、医師が『死産証書』を発行してくれますので、それを持って住まいのある役所に行って手続きをします。
死産届の書き方や提出のやり方
死産届を出すときの書き方や提出方法などを詳しくご説明します。
<死産届を出すときの名前>
死産をしたら、その胎児に対して戸籍がつくられないので、死産届の書類に亡くなった胎児の名前を書くことはありません。ただ、性別が分かっている場合には、男女どちらかを記入するところがあります。
<死産届を出す人>
死産届は、亡くなった胎児の両親や医師が行います。
死産届の届出人になれる人は決まっており、優先順位があります。
- 子供の父親
- 子供の母親
- 同居人
- 立ち会った医師
- 立ち会った助産師
このような優先順位がありますので、それを踏まえて胎児が亡くなってから7日以内に死産届を提出します。
死産した胎児は火葬して骨が残る?
死産した胎児の骨を残しておきたいと思う両親もいるでしょう。
ただ、胎児の大きさによっては火葬場で火葬をして、遺骨をちゃんと残せない可能性もあります。
また、妊娠24週を超える死産の場合は、死後24時間を経過しなければ火葬が行えないので、その間に家族だけのお通夜を執り行う人や思い出作りのために同じ布団で寝たり、お風呂に入れてあげたりする人もいます。
妊娠24週未満であれば手続き後に仮想することができますが、赤ちゃんの体が小さい場合には遺骨を残せない可能性があることも覚えておいてください。
火葬の際は棺に洋服やおもちゃなどを入れることも可能ですが、副葬品の灰が多いとお骨を拾いにくくなるので気をつけましょう。
赤ちゃんの体が小さく、骨が残せない確率を少しでも低くするために、朝いちばんの火葬を予約するという方法もあります。
これは、外気温が上がったり、火葬の回数が増えたりすると火葬炉の火力が強くなるからで、火葬炉の火力が弱い時間帯であれば、お骨が残る可能性は少し高くなると考えられます。
また、胎児専用という火葬炉を設けている火葬場もあるのですが、一般的な火葬場と比較すると高額になってしまいます。
ただ、骨が残る可能性にかけて火葬をしたいということであれば、火葬場に相談をしてみるといいでしょう。また、骨を残すことができなくても、『遺灰』として残すことができる可能性もあります。
火葬をして胎児を成仏させたい、しっかりと見送ってあげたいと思う両親は少なくありません。
火葬をして骨が残るかどうかというのは、言ってしまえば運しだいという部分もあります。ですから両親がしっかりと、その事実を理解した上で火葬を行いましょう。
また、火葬をするには『死産届』を提出しなければならないので、注意してください。
赤ちゃん用の棺や骨壺は自分で準備する?
赤ちゃんの棺は病院で準備してくれたり、葬儀社で用意されているものを購入するように指示されたりします。
体の小さな赤ちゃんのために小型の棺やゆりかご型の棺、布団型の箱などが揃っていることもあれば、大人用の棺の小さなサイズを選ばなければならないこともあるので、希望するタイプがある場合は葬儀社に確認が必要でしょう。
また、葬儀社に骨壷の準備を依頼することもできますが、自分で手続きする場合は仏具店やネットショップで購入することになります。
骨壺のサイズは納骨する場所に合わせなければならないので、既定のサイズがあるか確認しておきましょう。
死産届を出したら通夜や葬儀はするもの?
基本的に死産届を出した場合、通夜や葬儀などはあまり行わない傾向にあります。もちろん葬儀をしてあげたいということであれば、葬儀をするのもいいでしょう。
ただ、葬儀は行わずに火葬だけをしてあげるという考えが一般的に広まっています。
死産した場合、両親は計り知れないほどに大きなショックを受けています。ですから、死産届や火葬など色々とやらなければならないこともあり、精神的な疲労はどんどんたまっていきます。
そういったときに、周りの人がサポートをしてくれると、両親もまた少しは落ち着いて行動することができるでしょう。
死産届は戸籍に残らない胎児のための書類
死産届を知ることにより、戸籍に残らない寂しさというものを感じる人も多いでしょう。
ただ、妊娠12週以降の胎児が亡くなったら死産届を提出しなければならないことは、悲しい現実であっても覚えておく必要があります。
