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弔慰金とは?慶弔金とは何が違う?
弔慰金は遺族を慰めるという意味や、死者を弔うという意味を持つ『金銭』です。
つまり、遺族に対して金銭を贈ることを意味します。
弔慰金は香典とは異なり宗教的な意味もない
弔慰金には宗教的な意味合いがなく、香典とは違うものになります。
ですから、葬儀で贈るものではなく『葬儀以外』の場所で贈る金銭になります。
そんな背景があるので、弔慰金は個人だけではなく『法人』『政府』などから贈られることもあります。
ちなみに英語で弔慰金のことを『Condolence money』といいます。
あまり使うことはないと思いますが、もし外国の方に聞かれた場合にはこちらの英語をお伝えください。
弔慰金と慶弔金にはどんな違いがある?
弔慰金と慶弔金には、それぞれ意味があり違いがあります。
弔慰金は遺族を慰め、死者を弔う意味を持つ金銭のことです。
基本的に個人ではなく、『公的機関』『企業』などから支給されるのが、弔慰金です。
それから、葬儀の当日に贈る金銭ではなく、遺族が落ち着いてから後日渡すのが弔慰金の特徴です。
一方の慶弔金は、『団体』や『企業』などで定められた規約に沿って、役員や従業員、会員などに対して支払うものです。
香典、見舞い、結婚祝い、出産祝いなどの名目で慶弔金は使われています。
このように、弔慰金と慶弔金は根本から利用目的が異なりますが、気持ちを表すために支給する金銭だという部分では目的が一致しています。
弔慰金の封筒の書き方
弔慰金をお渡しするときには「香典袋」という封筒を使います。そして書き方にもマナーがあるので、覚えておきましょう。
香典袋の中央上:「弔慰金」と記す
香典袋の中央下:「差出人の名前」を記す
香典袋の中包みの表:「金〇〇圓也」と記す
上記の中包みとは、現金を入れる封筒のことで弔慰金を入れる香典袋の中に入れて使います。
香典袋には薄墨を使う
香典袋の書き方のマナーとして「薄墨」を使って書くことが正しいとされています。ですから、基本的には薄墨を使って先ほどの文字を記入していきましょう。
ただし、「和紙」を使っている場合などは薄墨により「にじみ」が出てきてしまう可能性があり、文字がにじむと読みにくいので「真黒の墨」で記入するケースもあります。
中入れに記入する金額の書き方
中入れとは「目録」とも呼ばれています。もし弔慰金の金額が中途半端な数字になってしまう場合(36万6305円など)には、たった1行だけでは金額を書ききれないこともあります。
そういった場合には、金額の文字を小さくするか「金三六万六三〇五円也」と書くなどして、文字が入り切るようにしましょう。
渡す日や振込み日を記載する
弔慰金を手渡しする日にちや振込みをする日にちが決まっている場合には、その日付を記入しておきましょう。ただ、そういった日にちがまだ決まっていないのであれば、書かなくても問題はありません。
弔慰金の正しい渡し方
弔慰金は日常生活の中で関わることが少ないものですが、もし弔慰金を渡す立場になったときのことを考えて、正しい渡し方をご紹介しますので覚えておきましょう。
個人で渡す場合と会社や法人で渡す場合がありますので、2パターンの渡し方をご説明します。
個人で弔慰金を渡す場合
個人で弔慰金を渡すことは、ほぼありません。
ただ『募金』として集めて支給をするということがあります。
学校などで同級生の親が亡くなってしまったときなど、募金を集めてお金を渡すということがあります。
これが弔慰金を渡すということです。
募金を主導した代表者やその次のまとめ役などが、遺族に家に行って直接、弔慰金を渡すのがマナーです。
法人や会社として弔慰金を渡す場合
基本的には、法人や会社が弔慰金を渡すというシーンが多くなります。
もし従業員の方の家族が亡くなった場合には、会社に出勤したときに弔慰金を手渡します。
もし従業員の方が亡くなった場合には、従業員の自宅に行って遺族に弔慰金を手渡します。
弔慰金を渡すときの作法
弔慰金は失礼にならないように渡すのがマナーです。
白い封筒に『弔慰金』と記入して、タイミングの良い日を見計らって渡すようにしましょう。
絶対的な渡し方のルールというものは存在しませんが、失礼のないようにするのが基本です。
弔慰金の相場価格とは?
弔慰金というのは、支払う背景が様々ありますので「一般的な相場」というものは決められていません。
会社が支給する弔慰金も、会社の大きさなどによって異なります。
ですから、絶対的にいくら支払うという決まりがないので、ケースバイケースで決めることになります。
ただ、「従業員が死亡したときの弔慰金の支給実態」というデータに基づくと、このような金額が弔慰金として支払われていることが分かります。(参照元:株式会社日本実業出版社)
1、業務上死亡の場合
一律定額支給:最高額3500万円、中位額100万円、最低額2万円
2、業務外死亡の場合
一律定額支給:最高額1000万円、中位額30万円、最低額2万円
その他に、勤務年数に応じて支給するケースもありますので、企業によって規定が異なります。
弔慰金の勘定科目について
弔慰金の場合課税関係と仕訳についてどのような仕組みになっているのか、という部分が気になっている方も多いでしょう。弔慰金は「一定の要件」を満たしていれば「税制」にて特典を受けることが可能です。
要件1、弔慰金の支払い者は、法人と事業を営む個人に限る。事業を行っていない個人が弔慰金を支払ったとしても、税制の特典は受けられません。
要件2、弔慰金の支給対象者が法人か個人の従業員またはその親族に限る。自社または自社の特約店などに専属しているセールスマンやその親族が支給対象になることもあります。
香典、死亡退職金、弔慰金の違い
弔慰金と慶弔金以外に死亡退職金や香典と弔慰金の違いについても知っておかなければなりません。
これらは、全て送る目的や時期が異なりますが、社員や社員の家族が亡くなった時に支払われるお金であるという点は同じです。
<香典>
故人の霊前に供えるために贈られるのが香典です。
香典を渡すのは通夜や葬儀の時で、花や線香などのお供え物の代わりに渡すこともありますが、お供え物と香典の両方を渡す場合もあります。
企業から渡す際には会社の代表者が葬儀や通夜に参列した時に渡しますが、社員が個人的に香典を渡しても問題ありません。
香典とは、故人の霊に供えるものです。一般的には通夜や葬儀の時に、花輪や線香代わりに渡します。
企業の場合、社員が個人的に持っていっても構いません。一般的には、会社からとして代表者が参列した時に渡します。
<死亡退職金>
故人の功労を称えるため、遺族の生活を支えるために支払われるのが死亡退職金です。
死亡退職金は法定相続人の数によって非課税になる金額がかわってくるため、会計処理の際には注意が必要になります。
弔慰金が非課税となるのは最後の給料の6か月分までとなっており、法定相続人の人数に関係なく課税対象額が決まります。
弔慰金に上限額が設けられているのは、非課税であることを利用して節税目的で贈られることを防ぐためのもので、これ以下であれば社会通念上妥当と認められるため課税対象にはなりません。
死亡退職金の場合は「法定相続人数×500万円」までが非課税ですが、弔慰金と死亡退職金を分けずに支給してしまうと遺族が相続税を支払うことになるので、弔慰金と死亡退職金は別々に会計処理を行うのが一般的です。
弔慰金の相続税や消費税について
弔慰金というのは、被相続人が死亡したときに受け取った場合、基本的に『相続税』の対象ではありません。
しかし、退職手当に該当すると認められた場合は、その分が『課税対象』になります。
国税庁では、退職金として弔慰金として認められる金額についてこのように決めています。
・被相続人の死亡が業務上の死亡だったとき
被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額
・被相続人の死亡が業務上の死亡ではないとき
被相続人の死亡当時に普通給与の半年分に相当する金額
また、『消費税』は弔慰金が対価としての支給ではないので、『不課税』になります。
弔慰金は会社を持っている人は覚えておくべきもの
弔慰金は基本的に個人が支払うことはなく、日常生活の中で支払う、受け取るという行為はあまり頻繁には見られません。
ただ、会社を経営している人であれば、弔慰金を支給することもありますので、弔慰金のマナーやルールなどを覚えておくといいでしょう。
また個人的に募金を集めて、遺族にお金を渡すときには弔慰金という扱いになるので、募金をするときにしっかりとメンバーで話し合いをするようにしましょう。
