建碑法要(けんぴほうよう)という言葉を聞いたことはありますか。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、お墓と関係しているのでご説明します。まず、建碑法要はお墓が建てられたときに行う「儀式」のことで、お祝いという意味が込められています。一般的に「開眼供養」とも呼ばれているのですが、浄土真宗においては「魂」という概念がないので、建碑法要という言葉を使います。

このページの目次はこちら
建碑法要の意味と儀式の流れ
まずは、建碑法要の意味と儀式の流れを詳しく解説します。
建碑法要の意味とは?
建碑法要は、お墓が完成したことをお祝いする儀式です。一般的な建物が完成したときに「落成式」が行われますが、建碑法要も同じようにおめでたい意味が込められています。
お墓には、亡くなった人を納めるのでお祝いとは真逆と考える人もいますが、お墓が完成したということは、故人の終の棲家が完成したということなので、お祝いをするのです。
建碑祝いでは、故人の魂をお墓に吹き込むという意味を持つ「開眼供養」を行います。お墓を建設しただけでは、ただの石碑と同じ状態なので、建碑法要により開眼供養で魂をお墓に入れてあげます。これで、お墓として利用することが可能となります。
ちなみに、浄土真宗では開眼供養という言葉は使わずに、建碑法要という言葉を使います。その理由は、海岸することつまり仏様の眼を開くことを、人間の勝手な都合で行ってはいけないという考えが、浄土真宗にはあるからです。
建碑法要の流れ
それではお次に、建碑法要の流れについて順を追ってご紹介します。
- お墓に祭壇や供物を準備する
- 施主、僧侶、参列者がお墓に集合する
- 「除幕」という、お墓に巻かれた白い布を外す
- 僧侶が読経をする
- 参加者が焼香をする
- 遺骨を納骨する
- 卒塔婆供養をする
こちらが建碑法要の流れになります。さほど難しい儀式ではないので、お祝いの気持ちを持って執り行いましょう。
建碑法要に参加するときのマナー
それでは次に、建碑法要に参加するときの服装や持ち物についてご紹介します。
◆服装
お墓を建てた人が生きている間にお祝いをする場合であれば、略礼服や暗い色のスーツと白いネクタイなどで参加をしましょう。もし、納骨と一緒に建碑法要が行われるのであれば、納骨の方に服装を合わせる必要があります。
納骨の際には、喪服や暗い色の正装と黒色のネクタイなどが望ましいです。ただ、建碑法要の際には白いネクタイをして、納骨の際には黒いネクタイをするなど儀式によって使い分けることも可能です。
また、女性の場合はヒールの高い靴は履かないようにしましょう。たとえ、建碑法要だけでお祝いごとであっても、お墓というのは歩きにくい立地の可能性もありますので、ヒールは低いものを選びましょう。
建碑法要は、お墓を建てた人が生きているか、亡くなっているかによって参加者の服装も異なりますので、注意しましょう。
◆持ち物
建碑法要の際には、「数珠」を持っていくのを忘れないようにしましょう。納骨を一緒に行う場合も、行わない場合も僧侶が読経をしますので、数珠が必要になります。
◆アクセサリー
女性の場合はアクセサリーを身に着けて参加することがあります。この場合、白や黒のパールアクセサリーで、一連のものを身につけましょう。また、バッグを持っていくときには小さ目の黒色のバッグを使ってください。
お墓が完成したらお祝い金を渡す?
建碑法要では、お墓の完成をお祝いするという意味が込められています。ですから、喜びの気持ちを込めて、お祝い金を施主に渡すのが一般的なマナーとなります。では、具体的な相場と、渡し方のマナーなどをご紹介します。
◆お祝い金の相場
一般的にお墓が完成したときのお祝いには、3万円~5万円を渡すのが相場となっています。ただ、親族であれば10万円程度渡すこともありますし、亡くなった人の友人なら1万円程度というケースもあります。
つまり、お墓を建てた人や故人とどのような関係にあったのかという部分が、金額に反映されるということです。所縁のある人や仲が深かった人は、相場や少し多めに渡すこともあります。
◆お祝い金の渡し方
建碑法要だけであれば、「赤白の水引」や「水引が印字された祝儀袋」にお金を入れて渡します。納骨と建碑法要を一緒に行う場合には、慶事ではなく弔事なので「黒白の双銀」「黄白」の水引を使った不祝儀袋にお金を入れて渡します。
また、お祝いなのでお札は「新札」を入れるのがマナーとなります。葬儀などの香典では、使い古したお札を入れるのがマナーですが、お祝い事である建碑法要では逆になります。
建碑法要の意味とマナーを知っておくと便利です
これからお墓を建てる人も、お祝いに参加する人も建碑法要のマナーや意味を知っておくと便利です。どのような目的で、どんな気持ちで参加すればいいのか、お祝い事なのかそれとも弔事なのか、ハッキリとした意図を理解して建碑法要に臨みましょう。