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奉書紙とは何に使うもの?どこで買える?
奉書紙はお布施を包むときや弔辞を書くための紙として使われています。
「楮(こうぞ)」という原料で作られている『白い厚紙』のことを奉書紙といいます。
日本では『公文書』にも奉書紙が使われていたことが分かっており、とても長い歴史があるものです。
幕府が使っていた命令書という意味があるので『奉』という言葉がつきました。
奉書紙はどこで買えるのか?
奉書紙は基本的に『書道具』『和紙専門店』などのお店で取り扱っています。
一般的な『文房具店』にも奉書紙が置いてあることは多いです。
また実店舗だけではなく、最近では『ネット通販』で購入することもできます。
それから『100円ショップ』にも、店舗などによりますが奉書紙を扱っているところもあります。
奉書紙はどのくらいの金額?
奉書紙にはサイズや品質などの異なる種類がありますので、一概にいくらとはいえません。
一般的なサイズ『A4』であれば100枚当たり千円~3千円程度で購入ができます。
ただ、100円ショップでも販売している場合がありますので、100円で購入できる可能性もあります。
しかしその場合、品質が劣る可能性もありますので、自分の目で見てよく考えて買うようにしましょう。
現在では、『パルプ』を使って作られた白くてしっかりとした厚手の紙を奉書紙と呼んでいるので、そこまで品質にこだわる人もあまりいません。
奉書紙は用途に合わせたサイズを選ぶ
奉書紙は、弔辞を書き記すために使う紙でもありますし、お布施を包む紙でもあり、さらに香典を包む紙でもあります。これだけ様々な用途があるので、奉書紙にもサイズというものがいくつか用意されています。
先ほどは一般的なサイズA4があるとお伝えしましたが、他にもB5サイズ、巻紙になっているものなどがあります。ですから、用途に合わせて奉書紙のサイズを変えて使うのがおすすめです。
弔辞を書き記す奉書紙であれば、割と大きめのサイズを購入するのがいいでしょう。香典やお布施など現金を包むための奉書紙であれば、小さめのサイズを購入するのがいいでしょう。
奉書紙と和紙・半紙はべつもの?
奉書紙は和紙専門店で取り扱っています。
そして和紙の1種でもあります。奉書紙は白色で厚手の紙の和紙だと思ってください。
奉書紙は弔辞、祝辞を書く紙として使われていますし、香典やお祝いなどを包む紙としても使うことができます。
一方で、書道で使う和紙のことを『半紙』と呼びます。
半紙とは用紙のサイズを表す言葉で、伝統的な和紙『杉原紙』の半分だから半紙と呼ばれた説と、平安時代に決められた和紙の半分のサイズだから半紙と呼ばれたという説があります。
どちらの説が正しいのか、定かではありません。
ちなみに現在の半紙は「24㎝×33㎝」の和紙のことを呼びます。そして半紙は、奉書紙よりも薄い白い紙のことになります。
奉書紙に印刷をすることはできるのか?
奉書紙や和紙というのは『裏表』があるのをご存じでしょうか。
表面は滑らかな手触りでスベスベした感触で、裏面はザラザラした感触です。
筆を使って書くときには表面に書くと書きやすいので、基本的には表面を使います。
そして奉書紙に印刷をすることも可能です。
印刷をするときは基本的に表面にしますが、裏面に印刷をすることもできます。
現在ではパルプを使った奉書紙がありますので、印刷に適応しています。奉書紙をある程度の枚数用意しなければならない場合には、印刷をして使ってもいいでしょう。
奉書紙に弔辞を書く時の注意点
弔辞を依頼されるのは、故人と深いかかわりがあった人です。
もし、遺族から弔辞を依頼された時には故人のためにも気持ちよく引き受けるべきでしょう。
ただ、弔辞を読む機会というのはそれほど多くないため、何にどう書けば良いのか、どんなないようにすれば良いのか迷ってしまう人も多いはずです。
弔辞は葬儀の場というフォーマルな場で読むものなので、奉書紙を使って書きます。
基本的に薄墨の毛筆で書きますが、最近は奉書紙にパソコンで作成した文章を印刷するという人も少なくありません。
大判の奉書紙を準備したら薄墨を使って縦書きで文章を書いていきます。
奉書紙の右端は少し広めに余白を空けておき、行間も開けておいた方が綺麗に見せることができ、自分自身も読みやすくなります。
全て書き終えたら最後に署名をし、署名の方から先頭に向かって折りたたんでいきましょう。
巻紙タイプの奉書紙もありますが、折りたたみタイプでも巻紙タイプでも自分が使いやすい方を選んで構いません。
大事なことは読む時に文章の先頭から読みやすいようにたたむ、あるいは巻きなおすということです。
弔辞を書いた奉書紙はそのまま持参するのではなく、また別の奉書紙で包んでください。
包むための奉書紙は弔辞を書いた紙を三つ折りにしたサイズを包めるくらいに切り、包み終わったら表に「弔辞」と記入します。
葬儀で弔辞を読んだ後は、遺族が弔辞を保管するので綺麗に書くことを心がけましょう。
奉書紙で目録を作る方法
正式な贈答の場合「目録」を付けて贈るのがマナーとなりますが、一般的には目録用紙を購入して記入することが多いでしょう。ただ、目録は奉書紙で簡単に作成することができます。ですから、目録を使うシーンがあれば奉書紙を用意して自作してしまうのもおすすめです。では、簡単な作り方をご説明します。
奉書紙を縦2つ折りにする
輪の部分を下にして左右を3つ折りにする
たったこれだけで、奉書紙を目録にすることができます。出来上がった目録は、別の奉書紙または檀紙(檀紙は格式がある)で包みます。
奉書紙で作成した目録は、「左・右・上下」という順番で裏側に折って包みます。
<目録の書き方>
・目録の右部分の中央に「目録」と記入
・目録の真ん中部分の左寄りに「品名」「個数」「贈る日付」を記入
・目録の左部分の中央に「宛名」を記入
・目録の左部分の右寄りに「送り主の名」を記入
奉書紙の正しい包み方
奉書紙は弔事と慶事によって包み方が異なりますので、香典や祝いなどを包むときには間違えないように注意しましょう。
それでは、正しい奉書紙の包み方をご紹介します。
基本的に中包に『半紙』を使って、上包に『奉書紙』を使います。
慶事の場合は上包2枚、弔事の場合は上包1枚ずつ奉書紙を使います。
<慶事の奉書紙の包み方>
幸せを逃さないという意味を込めて、『裏側を折り重ねるときに下側をかぶせる』という方法で奉書紙を包みます。
<弔事の奉書紙の包み方>
慶事とは左右と上下が異なります。
奉書紙の表面(すべすべしたほう)が外側にくるように置いて、3つ折りにして真ん中の部分に『中包』を乗せます。
奉書紙の左側~右側という順番に折り重ねる。
奉書紙の下側を上に追って、その上に上側を折りかぶせる。
奉書紙にお布施を包むときの注意点
奉書紙は弔事で使うことができますが、香典とお布施により包み方が異なります。香典は「不祝儀」なのですが、お布施はお寺の住職にお渡しするものなので、不祝儀に当てはまりません。ですから、弔事の包み方をしなくてもよいのです。
では、奉書紙でお布施を包むときの方法をご説明します。
1.半紙をダイヤの形にして敷き、お札の表側に顔がくるようにして、自分の方に向かい平行にお札を置く
2.下の角からお札の底部分に沿い折り上げる
3.お札を右に2㎝ほどずらし左から折りたたむ
4.右側を底部分に沿って折る
5.お札の部分を上に折り上げる(お札よりも少し大きめに)
6.残った部分を折る
7.表面で折り重なった方を右下にもっていく
8.出来上がった中袋を奉書紙の真ん中に置く
9.左→右→下→上という順番で折る
奉書紙はツルツルしている面が表、ザラザラした面が裏になります。また、現金を入れるための「中袋」がある場合には、半紙で包まずに中袋を使って順序8から進めてください。
奉書紙の歴史と現在
奉書紙はもともと「公文書」に使われており、大切な要件を伝える紙として重宝されてきました。
そこから派生して、儀礼のシーンでも使われるようになり、神事や祝詞などにも活用される文化になりました。
また贈り物に対して神聖なものという扱いだったので、清らかという意味を持つ和紙を使って贈り物を包む風習があり、それが現在にも残っています。
その形は『御祝儀袋』『熨斗紙』などとして、現在も広く使われています。
奉書紙は『大事なことを伝えるため』に使われる、神聖な和紙だということです。
奉書紙は日本人なら使うべき神聖な紙
奉書紙を使って香典や祝儀を包む、奉書紙に弔辞を書くなど、日本人として生きていくのであれば生活の中でいつか奉書紙が必要になるものです。
最近では弔辞を書く時に便箋を使う人も多いですし、香典を奉書紙で包まなくても既に袋状になった香典袋が市販されているので、奉書紙に触れる機会はさらに減っています。
そのため、香典を包む時の奉書紙の使い方がわからない、香典とお布施の包み方の違いがわからないという人は多く、思いがけず相手に対して失礼なことをしてしまうことが少なくありません。
昔からの風習が時代に合わせて変わっていくというのは仕方のないことですが、長く続いている風習には相手を思いやる気持ちや感謝の気持ちを伝えるという意味が込められているものも多く、知らずにいるとマナー違反になるだけでなく、せっかくの気持ちを伝えられなくなってしまいます。
奉書紙は専門店などで買うことも多いですが、文具店やネットショップなどでも販売されているので比較的手軽に手に入れることができ、使い方を覚えてしまえばそれほど難しいものではありません。
大切なことを伝えるために使われる奉書紙の正しい知識を身に着け、日本に伝わる風習として理解しておきましょう。
