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塔葬(とうそう)とは?チベットの独特な葬儀方法5つを徹底解説

投稿日:2019年9月20日 更新日:

塔葬
終活アドバイザー「鈴木」
鈴木
葬儀とは、世界各国で様々な方法で執り行われています。「塔葬(とうそう)」というチベット族特有の葬儀がありますが、この塔葬の方法があまりにも独特だということで、一度聞いたら忘れられない葬儀といわれています。それでは、塔葬について詳しくご説明します。

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塔葬とはチベット族の特有な葬儀方法の1つ

塔葬はチベット族が行う、日本人からすれば信じられないような葬儀の方法です。

それでは、具体的に塔葬のやり方についてご説明しましょう。

塔葬は最も名誉のある葬儀方法

塔葬はチベット族が行う『5つの埋葬方法』の中でも、最も名誉のある葬儀方法になります。

別名『霊塔葬』とも呼ばれており、一部の貴族や生き仏だけに行われる儀式で、塔葬により遺体は『霊塔』に安置されます。

塔葬は、ダライ・ラマ、パンチェン・ラマなどの法王、生き仏だけに対して行われる葬儀方法です。

遺体を安置するのは、金や銀、宝石などで飾られた豪華絢爛な霊塔の中です。

塔葬の独特なやり方の詳細

塔葬は、とても独特な方法で行われます。

まず、遺体を香料の入った『水薬』で清めて、宝壇に座らせます。

次に、バター油の灯明を灯して、信教者たちに参拝をしてもらいます。

その後、また香料が入った水薬で遺体を清めて、全身に塩を揉みこみます。

塩には、『防腐・吸水』という効果があり、『血液と体液を抜く』という効果もあります。

そして遺体がミイラ化するまで、何度も塩を揉みこむ作業を繰り返します。

遺体の顔に特別な泥を塗って、顔の形が崩れないようにします。

そして遺体に『番紅花・香料』をふりかけて、様々な色のハタを巻き付けて霊塔に入れます。

これまでのダライ・ラマ、パンチェン・ラマ、各派の生き仏、黄教の長老などの葬儀は、すべて塔葬で行われています。

塔葬以外に行われるチベットの4つの葬儀方法

チベットでは、塔葬以外にも4つの方法で葬儀を行います。日本人には親しみのない方法もあるので、それぞれ4つの葬儀方法を詳しくご紹介します。

<天葬(てんそう)または鳥葬>

天葬または鳥葬は、多くの一般人に用いられる葬儀方法です。

遺体を部屋の隅に置いた敷物の上に、しばらく安置します。そして、死後3~5日間は僧侶を呼び、朝から夜までずっと枕経をあげてもらいます。この間に、親戚や友人、知人などが弔問に訪れます。

死人が出た家では、玄関に『赤い缶』を1つだけ吊るすという慣習があります。缶の中には、血、肉、脂、乳、バター、チーズなどを毎日少しずつ入れていき、死んだ人の『鬼』に食べさせます。

どうやらチベットでは、死んだ人が鬼になると考えられており、霊魂は肉体を離れているので、死んだ人が自分で食事をすることはできません。ですから、生きている家族が鬼に食事を与えるという目的があります。

数日後、総長に遺体の洋服を脱がし、縄で縛り、一本の白い線を引きます。この線にそって遺体を担ぐことが、義務とされています。そして、玄関で遺体を天葬する人に渡します。

家族は出棺の際に全員で見送りをするのですが、天葬を行う場所にはいきません。親友や友人たちが、野辺送りをすることになっています。そして、野辺送りをする人は絶対に後ろを振り向いてはいけないというルールがあります。

もし後ろを振り向くと、死者の魂が家に戻ってしまい、災難をもたらすと考えられているからです。

天葬は待ちのはずれの山で行われます。大きな自然石を『天葬台』として使い、その上に遺体を安置します。

周りには、松などの香木を積み上げていき、火をつけます。煙がどんどん立ち上るのですが、この煙によって、『天の鷹』つまり『ハゲワシ』に報せを出しているのです。

ハゲワシは煙を見つけると、食べ物を探すという習性があります。

この時点で、すでに天葬は始まっています。遺体の背中を解剖し、もし遺体が僧侶の場合には背中に宗教上の『模様』をつけていきます。内臓を取りだし、肉を刻み、団子状にします。

まずは、骨からハゲワシに与え、その次に肉を与えていきます。そうすることで、少しも体を残すことなく『昇天』させることができると考えられているからです。

<水葬(すいそう)>

水葬は、孤児、ホームレスなどの経済的に恵まれていない人のために行われる葬儀方法です。

遺体を川岸に運び、関節で切断をして川の中に投げ込みます。地域によっては、切断をしないで白い布で包むだけで川に投げ込む場合もあります。チベット南部にある深い谷の地域では、ハゲワシがこないので、多くの場合が水葬を行います。

<土葬(どそう)>

土葬は、天然痘、ハンセン病、タンソ病などで病死した人、罪を犯した人、殺された人などのために行われる葬儀方法です。

法律的に天葬、水葬をすることが許されない人たちを土葬することになります。地面に穴を掘って、遺体を埋めるという至ってシンプルな方法です。

<火葬(かそう)>

高位高官、貴人、生き仏などのためにある葬儀方法です。

遺体を焼いて、遺骨や遺灰を山の上や川などに撒きます。

日本では、あまり遺骨や遺灰を撒くことはありませんが、火葬が一般的なのでこちらは理解ができるでしょう。

世界には様々な葬儀方法が

チベットは一つの国に5つもの葬儀方法がある世界でも珍しい国ですが、チベット以外にも独自の葬儀方法が風習として残っている国はたくさんあります。

<ノルウェー>
北欧のノルウェーには家族が眠るお墓だけでなく、誰が眠っているのか名前が記載されていない「ミンネルンド」という共同墓地があります。

ミンネルンドができたのは1980年代頃なので、それほど古い風習ではありませんが特徴的なのは家族がいても故人がどこに埋葬したのかわからないという点です。

埋葬の日時や場所を家族が知らされることもなく、およその区画のみ伝えられるということでお墓参りに訪れる家族はあまり多くありません。

ミンネルンドの管理は墓地課が行うので家族がお墓の手入れをする必要はありませんが、記念碑が設けられているので献花をすることは可能です。

これは、残された家族にお墓の管理や整備を任せるのが忍びないという気持ちからできたシステムとも言われています。

<インドネシア>
インドネシアは多民族、多宗教国家のため葬儀のスタイルも様々です。

チベットで行われているような鳥葬を行う地域、部族もあれば、葬儀に呪術師が呼ばれて故人の魂を鎮めるための祈祷を行うこともあります。

<バヌアツ共和国>
バヌアツ共和国では亡くなった人の魂が悪霊になり、生きている人に厄災をもたらすと考えられており、それを防ぐための生贄として死者に豚を捧げることがあるそうです。

<インド(ヒンドゥー教)>
インドは仏教発祥の地ですが、ヒンドゥー教徒が多い国でもあります。

国内を流れるガンジス川は神にたとえられるほどの聖なる存在であるため、火葬後の遺灰をガンジス川に流す風習があります。

一部の地域では子供や犯罪者の場合は火葬をせずに、遺体をそのままガンジス川に流すこともあるそうです。

亡くなった人はその肉体が亡くなったとしても他の生き物として生まれ変わるという教えがあるため、遺体をそのまま埋葬するのではなく火葬するという点では日本の仏教と同じですが、火葬後に骨を拾って納骨するということは行われていません。

塔葬やチベットの葬儀は日本と全然違う!

塔葬やチベットの葬儀方法をご紹介しましたが、日本とは全然違うのでしっくりこない人も多いでしょう。

ただ、地域や慣習が異なれば、これだけ葬儀方法も異なるということを覚えておくといいでしょう。

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終活アドバイザー「鈴木」
鈴木
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