お墓とは基本的に1つの家のものというイメージがあります。しかし、中には2つの家のお墓を1つにまとめてしまう「両家墓(りょうけばか)」という方法もあります。ただ、墓地によって両家墓を許可していないこともありますので、全ての墓地や霊園で認められているとは限りません。

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両家墓とは?メリットはあるのか?
基本的に仏教のお墓というのは、お墓1つに対して1つの家が管理をしており、墓石にも「〇〇家之墓」と彫られています。しかし、中には2つの家が1つのお墓に入っているという両家墓が存在します。
両家墓とは?
両家墓は、これまで継承されてきた「異なる姓のお墓」を、1つにまとめるという意味があります。昔から両家墓は存在していますが、近年になりますます両家墓を選ぶ人が増えているという傾向にあります。
なぜ両家墓が増えているのか、その理由は少子高齢化が進んでしまったことにあります。例えば、ある家に女の子が1人生まれたとします。女の子はいずれ他の家に嫁いでしまうので、この家のお墓を継承する人がいなくなってしまいます。
こういったケースが増えてきたことにより、両家墓を選択する人が増えてきました。
両家墓にはどんなメリットがある?
両家墓にすることで、本来なら別々の場所にあった両家のお墓が1つになるので、お墓参りが一度で済むというメリットがあります。遺族の負担も軽減されるので、高齢者でもお墓参りが大変だということが少なくなります。
実際に、両家のお墓が同じ地域や近くにあるとは限りません。むしろお互いに地方出身であれば、遠く離れた場所にお墓がある可能性も高いです。そういったとき、両家墓にすることで自分たちの近くに2つの家のお墓を置くことができるので、安心感もあります。
両家墓には種類がある
両家墓を建てるにあたり、3つの種類を覚えておくといいでしょう。
◆2つの石碑を一区画にまとめる
2つの石碑を一区画に建てるという両家墓の種類があります。両家墓は昔から存在しており、古くからあるものはこちらのタイプが多いのですが、近年では2つの石碑をまとめて建てる方法を選ぶ人は少なくなってきました。
2つの石碑を人区画にまとめる両家墓は、納骨室が2つに分かれていますので、両家の遺骨がそれぞれ別の納骨室に入れられるようになっています。
◆和型墓石
1つの和型タイプの墓石に、両家の姓を並べて彫り、墓石の中央下には「家之墓」という文字を1つだけ彫ります。中には、両家の家名を分けて墓石に彫るケースもあります。和型タイプの両家墓は、納骨室が1つしかありませんので、両家の遺骨が同じ納骨室に入れられます。遺骨が多い場合には、納骨室を2段にすることもあります。
◆洋型墓石
洋型タイプの墓石は、横型になった石碑が特徴的です。近年ではデザイン性なども考慮して、洋型を選ぶ人が増えています。石碑には好きな文字を彫ることができ、下の部分に家名を彫ります。納骨室は1つしかないので、両家の遺骨を一緒に入れることになります。
両家墓を建てる際の注意点
両家墓を建てるときには、まさに両家それぞれの言い分や意見などをすり合わせていき、お互いが納得できる形を取らなければ、いつかトラブルになる可能性があります。ですから、両家墓を建てるのであれば、注意すべき点というものがありますので、下記を参考にして相談をしてみてください。
◆両家の宗派を確認する
両家の宗派が同じかどうかを確認した上で、両家墓を建てる計画を勧めましょう。宗派が異なる場合には、両家墓が建てられない可能性もありますし、どちらかが改宗する必要が出てくることもあります。
◆親族が認めているかどうか
結婚した2人だけの問題ではなく、親族が両家墓を建てることに賛成し認めているかどうかが重要なポイントです。自分たちや両親が納得をしても、そのお墓に両親の兄弟や親などが納められていることもあります。そういったとき、親族から反対される可能性もありますので、親族にもしっかりと相談をしましょう。
◆お墓の管理者が了承しているかどうか
たとえ親族同士が両家墓を認めていても、それぞれのお墓がある墓地の管理者が了承していなければ、両家墓を建てることはできません。
既存のお墓を両家墓にできるのか?
新しく両家墓を建てるときは、上記で説明した注意点などを考慮すれば建てることができます。しかし、すでにあるどちらかのお墓を両家墓にしたい場合は、どうしたらいいのか。結論からいえば、既存のお墓を両家墓にすることは可能です。
ただ、もう1つのお墓の処分や、各々の墓地との話し合いや、改葬手続きなど色々とやるべきことがありますので、それなりに大変な計画になります。ですから、既存のお墓を使うのであれば、まずは墓地や霊園に相談をしてください。
これから増えていく両家墓
少子高齢化社会が進み、今後ますます両家墓が増えていくと考えられています。来る将来のために、両家墓になる可能性もあると考えて、今から色々なことを考えておくべきなのかもしれません。